相続とは
被相続人が亡くなったときに必要となる手続きが相続です。
例えばあなたのお父様やお母様が亡くなったとき、相続についてなにも知識がない状態では不安かと思います。
また、調べようにも相続は専門用語も多くわかりにくいと感じるかもしれません。
このページではできるだけわかりやすい言葉を使いながら、相続の流れと行政書士がお手伝いできることについてご案内します。
相続の開始
相続の開始時点は、被相続人が亡くなったときです。被相続人とは、相続される側の人(亡くなった人)であり、あなたにとって父や母などの親族であることが一般的でしょう。
まずは「死亡届」と「死体火葬埋葬許可申請書」を提出してください。書式は市区町村の窓口にあります。葬儀会社によっては、代理で申請してくれる場合もあるようです。
遺言書がないか確認する
被相続人の遺品を整理するなどして、遺言書がないか確認しましょう。被相続人が生前に「遺言書を作成した」とか「遺言書は○○さんに預けている」のような話を聞いた人はいないか確認してください。
遺言書が見つかった場合は、直ちに「遺言書の検認」の手続きをとる必要があります。くれぐれも勝手に開封してはいけません。
相続人の調査
遺言書がある場合もない場合も、相続人(相続する側の人)を調査し、確定させる必要があります。
被相続人(亡くなった人)に相続人がいるか、具体的には法定相続人となる子や孫、直系尊属(相続人の父や祖父など)、兄弟姉妹がいるかを調査します。
相続人の調査に誤りがあると、後から本来の相続人が現れた場合に、相続全体がやり直しになったり、すでに相続した財産を請求されたり、最悪の場合では訴訟に発展することもありますので、慎重に調査する必要があります。
遺言書がない場合の相続(法定相続)
遺言書がある場合は、遺言書を優先して遺産分割を進めていきますが、被相続人が遺言書を作成していない場合には、法律に従って遺産分割を進めていきます。これを「法定相続」と呼びます。
民法には「法定相続人」と「法定相続分」が定められています。(民法887、889、890、900、907)
なお、相続人同士で遺産の取り分を話し合って全員の合意が形成できれば、法定相続と異なる相続も可能です。もし、相続人の間で遺産分割の協議がまとまらなかった場合には、法定相続に従って遺産の取り分を決めることになります。
相続財産の調査
法定相続人が確定したら、相続財産を調査します。相続財産として代表的なものは、不動産と預貯金、有価証券(株券など)です。
相続財産にはプラスになる資産(不動産や預貯金など)だけでなく、マイナスになる財産(借入金や買掛金など)も含まれますので注意が必要です。
限定承認と相続放棄
相続財産に一部借金がある場合などは、限定承認という選択肢もあります。限定承認とは、相続財産に借金がある場合、相続した財産の範囲でのみ返済する相続の方法です。
プラスの財産(土地・建物・預金など)とマイナスの財産(借入金など)の両方があり、マイナスの方が大きい場合は、限定承認を検討します。なお、限定承認は原則として相続を知ったときから3ヶ月以内にしなければなりません。また、限定承認は相続人全員でしなければなりません。
被相続人の財産を調査した結果、借金ばかりで、めぼしい財産といえるようなものはない、といった場合や、生前音信不通であったり不仲であったりして、関係したくない親族が亡くなった場合は、相続放棄という選択肢を検討することになるでしょう。
相続放棄とは、プラスの財産、マイナスの財産を問わず、被相続人の権利義務を一切承継しないようにすることです。相続放棄をするには、家庭裁判所に申述する必要があります。
遺産分割協議
遺言書がない場合で、相続人・相続財産が確定した場合は、「遺産分割協議」を行い、「遺産分割協議書」を作成します。相続人全員で話し合って、その結果を書面で残すということです。
法定相続人が複数いる場合、遺言で禁じられていなければ、相続開始後いつでも、協議をして遺産の分割をすることができます。遺産の分割とは、相続人それぞれがどの遺産を相続するか、取り分を決めることです。ただし、遺産分割を有効なものとするためには、相続人全員の合意が必要です。その合意内容をまとめたものを「遺産分割協議書」と呼びます。
相続手続き
遺産分割協議が終わり、遺産分割協議書が作成できたら、実際の手続きに移ります。具体的には、「不動産の登記」「預貯金の解約、名義変更」「株式の名義変更」「車の名義変更」などです。
また、相続する財産の金額に応じて、相続税の納付が必要になるケースがあります。遺産が3600万円以上の価額になる場合は確認が必要です。その場合は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納税します。